Client : 島精機株式会社
Date : 2009
CI/VI/シンボル/ロゴ/タイプフェイス, 環境/空間
2009年SDA賞入賞作品(社)日本サインデザイン協会主催 「ニット編機の歴史」と「おもちゃ」という 異なる2つの展示が融合(fusion)した展示空間。 クライアントはニット編機の世界的シェアを誇る島精機。 自社の機械の歴史を展示する施設を計画する際にかかげたテーマは 「子供たちに発見、発明、こだわることへの楽しさを感じてもらいたい」 ということだった。 そのテーマにふさわしい「機械」と融合する展示として、 社長自らが選んだのが、北原照久氏が人生をかけて収集してきた 「世界のおもちゃ」のコレクション。 「機械」と「おもちゃ」、一見かけ離れた要素に共通するのは、 「作り手のこだわり」。 この「こだわり」を空間全体で感じ取ってもらうことが 展示空間デザインにかせられた課題であった。 ミュージアム全体は、 地場産=和歌山の檜の間伐材を格子に組んだ壁面が包む。 檜に包まれたニット編機とおもちゃは「白」と「黒」の対比で それぞれのゾーンを成立させている。 ニット編機は、 全長100mにおよぶ継ぎ目の無いコットンニットの壁に包まれた 白い空間に展示。 本来おもてに出ることのない機械が、自らが編み出したニットに包まれて 展示の主役となるという趣向だ。 入り組んだニットの壁は、一定の光のリズムで明暗を繰り返す。 やわらかなニットが表情を変えるとともに、 透過することで空間の奥行きを発見させる。 おもちゃは、おもちゃ箱の中に展示された黒い空間となっている。 暗く静かな空間で、おもちゃは光を受けて、 きらきらと楽しげに輝いている。 子供の頃、誰もが想像した「おもちゃは夜になると動き出す」、 そんなドキドキ感がこの空間では実現できたようだ。 二つの展示空間は、いくつかの場所で交錯し、連続する。 機械の背後におもちゃの気配、 おもちゃの向こうにニットの透過する空間が見え隠れする。 それゆえ、展示ストーリーは自由度を持ち、 来館者によって異なる体験の誘発を目指している。 空間を構成するすべての素材・要素が単なる化粧としてではなく、 必然ともいうべき意味を持ち、「作り手のこだわり」を発信しつづける・・ そんな新しい空間を実現することができたと考えている。
CREDIT
Collaboration with
Joint Direction: Yoshihiro Hirotani
& Archivision Hirotani Studio
Photograph : Yuichi Higurashi
Space Design & Logo Design & Sign Design :
Katsumi Hayakawa + F.PLUS Inc.
October 11, 2011 07:38:47