Client : ヒュンダイ・ディベロップメント
Date : 2006
環境/空間
韓国で最高のサービスを提供するべく開業した「パークハイアット・ソウル」では、インテリアデザイン、オペレーションサイドとの綿密な調整によって、ミニマムな(究極の)もてなしの情報デザインのあり方を提示した。 ●ホテルの空間コンセプト「情報」 ホテルは旅を楽しむための大切な舞台装置である。ゲストは「どんな時間を過ごすことができるのか?」と期待を抱きホテルを選び、訪れる。滞在するゲストが体感する様々な五感を「五感=情報」としてとらえ、ふさわしく表現することがデザインのスタートである。 ●サインにおける「情報」とは何か? 案内情報のみならず、光・素材・時間の経過による環境の変化など、多義的にサイン情報を編集することとした。ノイズとして感じさせることなく、静かに何気なく存在する・・・サイン。そのために「素材の質感」と「光」にこだわった。高品質なプロダクトに挑戦することで、ゲストに対して品質の高さを押しつけることなく、意識下に静かに浸透できる情報のあり方が実現できると考えた。 ●そこにはないもの=情報の物質性をはぎ取る表示 そもそも情報とは、実体を持たず内容だけが浮遊しているようなものである。サインでは、色彩やモノによって主張するのではなく、「シャドー=影」で表現することを目指した。具体的には、ホテル内を案内するサインの基調として、幅750mm×25mm厚のアルミインゴットに7mmの深彫りを施し、文字を「影」で表現した。ミニマムな形状は高い技術力を要し、数多くの試作を行わなければならなかった。施工の段階での誤差を解消し、従来の切り文字サインとは異なる、高い品質の情報提供が実現できた。 ●空間になじむ大きさにこだわる 客室番号では、ゲストが客室に向かうシーンをイメージした。多くのゲストは、酒を呑んで気分良く帰ってきたり、ロマンティックな気分に浸った恋人たちだ。彼らはいつもより少しだけ低めの視線で、ゆったりと客室に誘われて欲しいと考えた。また、客室番号は部屋の正面で初めて見るものではなく、他の番号を見ながら順番を追っていくものである。廊下の延長空間で見やすい自然な位置とはどこなのか?そこにこだわった。床から1m程の低位置に配した客室番号は、文字高が75mmと、極端な大きさにも理由がある。サインの切り文字のテクスチャーとインテリアの素材がなじむことを目的としている。大きくすることで、数字の隙間から壁面の木肌がのぞき、アルミという物質が空間構成要素の一部として成立し、ゲストの知覚に自然に働きかけるのだ。
CREDIT
Collaboration with
Interior Design : Takashi Sugimoto & SUPERPOTETO
Joint ArtDirection: Kan Akita & AKITA DESIGN KAN
Photograph : Atsushi Nakamichi & nacàsa & partners inc.
September 12, 2008 15:42:54